テレワークが普及しない理由はどこにある?自分の会社をチェックしよう

新型コロナの感染拡大も相まってテレビのニュースから「テレワーク」という言葉を聞かない日はありません。日本では働き方改革という言葉はあっても、それに見合った動きがあるのは大企業を中心とした一部に限られるのではないかと思います。

では、何故テレワークは普及しないのでしょうか?今回の新型コロナの対応で初めて無理やりテレワークを実施した企業は数多くあると思いますが、緊急事態宣言が解除されつつある今、それ以降もテレワークを続けることはあるのでしょうか。

政府や東京都などは緊急事態宣言解除後も可能な限りテレワークを、というメッセージを出していますがどれだけの企業にそれが届いているのかは疑問です。

国土交通省は、毎年「テレワーク人口実態調査-調査結果の概要-」を公表していますが、令和元年度の雇用型就業者におけるテレワーカーの割合は16.6% (前年度14.8%)となっており、業種にもよるとは思いますが、普及していると言える数字ではないと思います。

自身の経験なども交え普及できない理由を考察していきたいと思います。

現在の就業規則に定められている?

元々テレワークに関する規定がない場合は、そもそも制度を作ろうとしていないので、まずこういった新型コロナ感染拡大の状況でもテレワークをやりたいと思っていない経営者が少なからずいると思われます。その中で規則を改定してまでテレワークを行おうと思っていません。それが何故かは次の項目以降で話していきます。

もし、このコロナ危機を経験しても尚、テレワークに関する規定を作る機運が高まらないのであれば、そういった企業に将来性はあるのでしょうか?

今後、テレワークに関する規定が作られるかどうか確認してみてください。新型コロナは第2波以降もやってきますし、そもそも満員電車で毎日出社しなくとも仕事が出来ることは分かってしまったのではないでしょうか。

テレワークは休みだと思っている

今時さすがにそんな発想はないだろうと思いたいところですが、実態としては必ずしもそうではありません。「管理職は出社して席にいるべき」、「テレワークするなら女性社員は家でマスク作ればいいじゃないか」、このフレーズは誇張ではありません。こういった会社も多いかどうかわかりませんが存在します。

管理職が席にいなくてはいけない理由はないと思いますが、目の前に見えるものしか評価できない人間も少なからずいます。そういった管理職たちは、人事評価もまともには出来ないと思われます。

こういう化石のような管理職たちが上層部にいる会社は変革は難しいと思います。こういった人間は自分たちの歩いてきた道しか正解と思ってませんので、下から提案があっても却下されることが多いと思います。

テレワークを実施した時の問題点

令和元年度のテレワーク人口実態調査では、在宅勤務を実施する上での問題点として、「会社でないと閲覧・参照できない資料やデータなどがあった」や、「営業・取引先等、同僚・上司等との連絡や意思疎通」が合計45.7%もおり、制度が普及してないことを裏付ける結果となっています。

出勤し対面での対応が必要という業種は除き、デスクワークであれば、基本的には100%をテレワークにしない限りは十分に制度として成立するはずと思われますが、同僚、上司と意思疎通に苦労したという回答が多い背景は、環境の整備が出来ていないことを証明するものではないでしょうか。

具体的には、コミュニケーションツールの使い方もそのひとつです。Skype、WebEx、Zoomなど色々ありますが、社内で見ていると、内線で話すような感覚で使いこなせてないケースが多くあります。立ち上げるだけで大騒ぎする人たちが少なくありません。ITリテラシーの向上を目指さないとテレワークの普及にもつながりません。

投資コストを惜しむ

テレワークの必要性は、新型コロナ対応だけではありません。台風や豪雨などの災害時にも非常に役立つ制度です。物理的に動けなければ仕事が出来ないとなってしまうのであれば、今回のコロナの経験を活かして未来に備えるのは、リスクマネージメントの観点からも必須と言えるのではないでしょうか。

事業の拡大イコール事業所の拡張と思っている経営者も古いタイプだとまだまだ存在します。でもこの時代に固定費を増やして事業所を建てたり借りたりする行為はどこまで意味がありますか?

大企業では、テレワークを最大限利用し、一方で事業所を縮小してフリーアドレスとしているところも少なからずあります。コストを抑え、テレワークの併用により最大限の費用対効果を模索している結果と言えます。

もしテレワークにかかる投資に目を向けるのであれば、ネットワークを整備する方向にシフトすべきでそれらにはお金が惜しいとなってしまうのは、やはりテレワークへの理解が乏しいからに他なりません。

VPNや仮想デスクトップなどを整備し、従業員のPCをノートに切り替えるだけでとりあえずスタートは切れます。基本デスクトップPCしか配布していなかった私の会社などは、まずスタートを切る事すら難しい状況でした。勤怠管理なども色々と必要ですが、経験上そこまでハードルは高くないと思っています。そもそもテレワークを休みと見做してしまうような企業であれば、勤怠管理は信頼関係の観点からも無理かもしれません。

強く推進せず、裁量に任す会社は危険かも

とはいえ、現在の緊急事態宣言下では、社員を危険にさらすわけにもいかない場合、周囲の目もあり、とりあえずはテレワークを認めないわけにはいかないので認めるわけですが、その時にテレワークをするかどうかを社員に選択させる場合があります。

テレワーク人口実態調査の中で、テレワークの実施効果のマイナス効果のまとめ(複数回答あり)において気になった回答が、「職場に出勤している人に迷惑をかけた」(28.7%)、「職場に出勤している人に気兼ねした」(16.6%)です。

「職場に出勤している人に迷惑をかけた」というのは、結局テレワークの環境が整っていないということそのものではないでしょうか。お互いに出社している時もあれば在宅勤務の時もあるのであれば、それがお互い様という意識のもとに潤滑に進んでいかないといけない部分のはずが、実態としてはそうではなく、テレワークに負い目を感じてしまっているのではないでしょうか。

「職場に出勤している人に気兼ねした」が実は一番気になった点ですが、タイトルに書いたように、従業員個々の判断のもとにテレワークを行う、行わないということを放り投げてしまうと、積極的に活用する人とネガティブな人に必ずと言っていいほど分かれてしまいます。そうした中でやりたくてもやれない状況が生まれていると考えざるを得ません。

どうしてなのか不思議なことに、変わることを嫌う人間は、不公平感という曖昧な言葉を使って、変わろうとする人間の足を引っ張ります。こうやってテレワークの制度があっても形骸化していくのですが、皆さんの会社はどうでしょうか?

自分の会社をチェックしよう

  • テレワークに関する制度がありますか(評価制度、勤怠管理も含む)
  • 上司や経営者はテレワークを休みと思っていませんか
  • 会社は強くテレワークを推奨してくれますか
  • テレワーク環境に投資していますか
  • 社員の意識は前向きですか

テレワークは会社も社員も守るもの

テレワークが出来るはずの業種においての話ですが、こういった制度は、これからの時代に災害や感染症から身を守り事業継続を確かなものにするために必要なものだと考えます。

もし今後も制度を積極的に採用していかない企業があるとしたら、自分の将来と照らし合わせて長く働ける会社かどうかは考えたほうがいいかもしれません。

私は5年ほど前に自身の勤める会社でテレワークの制度の骨格を作り、当時の経営者に提案をしてパイロットとして採用されしばらくの間自身も含めてテレワークを行ってきました。しかし、経営者が変わり、育児と介護対象者のみの限定的な制度になり、管理職も使用できないという愚かな制度に変わりました。

そういう苦しみを味あわないためにも、自分の会社のことは自分できちんとチェックして将来性を見極める必要があると思います。

これからの日本は、withコロナの時代に入っていきます。南海トラフの地震もいつ来てもおかしくない状況下にあり、毎年台風や豪雨災害が発生する国になっています。

まともなテレワーク制度の存在は会社も自分も守ってくれます。これからの日本がそういう方向に進んでくれることを願っています。

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